せっかく家を購入したけれど、様々な事情によって手放すことがあります。
住宅を売る方のなかには、家族が増えたので住み替える、前向きな動機
の人も多いのですが、売らざるを得ない人も多くいます。
私たちは事情をよく聞いて売却を引き受けることになります。
融資を受けて(住宅ローン)住宅を購入したけれど、もう返済できない。
金融機関にも売った方がよいと言われた。そこで、売却したい
と相談に来られました。
売却の依頼ですから、土地建物の権利や設備などの調査を実施しました。
そのうえで、利益になること不利益になること全て説明し、売却の正式依頼を受け
たわけです。
売却開始までに処理しなければならないことは多く、一つでも見落としがあると
購入した方に大変な迷惑をかけます。設備や法律上の制約を確認する一方、
返済が困難なため売却するわけですから、金融機関との協議も重要です。
売買契約したけれど、登記されている抵当権が抹消されないなどの事態が生じ
ないよう、慎重に協議を重ねました。
ある日、この金融機関から電話が入りました。
「弁護士事務所から破産申し立て準備の通知が来た。」
金融機関もびっくりですが、こちらもびっくりです。
正式な売却依頼を受けていたのに、連絡も相談もなかったわけですから。
弁護士事務所との協議や裁判所との協議、その他の処理事項を積み重ね
最終的には問題なく売却できたわけですが、大変な時間を要しました。
依頼者が破産申し立てに至った理由をここで申し上げることができませんが、
残念な経過を辿りました。
購入者には安全に住宅を取得できるよう、売却する方には円滑な再出発が
できるよう、金融機関には裁判手続によらない回収ができるよう、慎重な配慮
をし業務を進めました。
しかし、売却依頼者にはうまく伝わらなかったのかもしれません。
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