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17.崖上の土地の言い分、崖下の土地の言い分−2

 法面が誰のものか誰のためにあるかは境界によって決まり、上の方にある場合は崖下の宅地のためにあるといえるわけです。

 さて、私の直面したケースは、この法面所有者つまり崖下の土地所有者から求められた、樹木の伐採です。樹齢20年ほどの樹木で、境界付近に成長しています。根が法面にしっかり張り、法面が崩れるのを防止してくれています。

 崖下の土地の言い分は、この樹木のお陰で日当たりが悪く、葉が自分の土地に落ちてくる、と言うものです。だから伐採しろという要求です。しかし、この樹木がなくなると、法面が崩れる危険性が大変大きいのです。

 「伐採したら土砂崩れするかもしれませんよ」と言ったところ、その跡にコンクリート擁壁を工事しろと言うのです。言うは簡単ですが、莫大な費用がかかります。

 しかも、法面は崖下の土地の一部であり、樹木も法面に成長しているのです。
結果的に、双方歩み寄って一定の解決をみました。

 しかし、崖下の土地所有者が自分の法面にある樹木だから、自分で伐採すると言い張っていたらどうなっていたか。崖崩れの原因はともかく、崖上の土地も崩れて被害を受けてしまいます。
法面は崖下の土地を守るだけでなく、崖上の土地も守っているのです。

 法面は、「誰のものか」が重要なのではなく、「崖上の土地と崖下の土地の両方のためにあり、お互いに維持管理してゆく」ことが大切なのだと思います。



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