幅4メートルの砂利道沿道に、20世帯ほどの家と空き地が2区画ありました。
空き地の所有者から売りたいと相談を受け、砂利道についていろいろ調べたのです。近隣の人に聞いたところ、数年前に突然、道路に木の杭が立てられたそうです。その木杭には警告看板がついていて
「私有地に付き無断通行を禁ずる」
とあったそうです。
町内では本当にびっくりしたらしい。
相談をした人は空き地の所有者で住んでいないため、さほど感じなかったでしょうが、家を建てて住んでいた人たちは大変な心配をしたようです。
現在、杭は立っていません。立てた人が抜いたのではなく、通行したトラックなどが杭に接触している内に、自然と倒れたそうです。立てた人は何度か立て直したのですが、何度立てても倒れて、ここ2年ほどは建て直しされていないわけです。
この町内はある建設業者が宅地造成をしたものです。道路は砂利道として建設業者が所有したままとなっていました。この建設業者が倒産して、砂利道が裁判所による競売にかけられました。木杭を立てた人は競売によって競落、つまり買った人です。
私有地には違いありません。
それでは承諾を得なければ通行できないでしょうか。
通行に障害ある土地を売るわけにいかないので、問題解決にあたりました。
いろいろな手段を講じて、
「承諾なくとも通行して良い。以後通行を妨害しない」
ということになりました。
この確認を得て、土地を売ることができます。
この件も時間をかけて解決しました。
様々な手段を講じて、といっても同時にできるわけでなく、この手段がだめなら次の手段というように、順を追って交渉しなければならないからです。
さて、木杭を立てた人は、何のために立てたのでしょう。
そうです。お金が欲しかったのです。妨害の木杭を立てても善良な住民は撤去しないだろう。そして自分に相談に来る。そのときに道路を買え、と言おうとしたのです。
事実、町内ではその通りにしたのですが、余りに高額な要求のため交渉は決裂したわけです。
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