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.ある住人−娘に迷惑かける父親

 アパートの紹介を求めて中年の男性が店に来ました。
「自宅は山形にあるが、仕事の都合で秋田にいる。
会社は山形の自宅が所在地となっている。
連帯保証人は自分の娘がなり、一緒に住む。」
こんな説明でした。

 私どもの契約基準を満たさない部分があったため、市内在住の
定職をもった連帯保証人をもう一人立ててもらいたいことを伝え、
娘さんの恋人が連帯保証人となりました。

 残念なことに、この父親は家賃を1年近く滞納しました。
70万円前後の滞納額と記憶します。
貸主のために何度も交渉しましたが、父親はいっこうに払おうとしません。

 そこで娘さんと娘さんの恋人と相談しました。
話を聞くと、いろいろあるようです。
娘さんの恋人はなかなかの青年で(ちなみに娘さんは21歳・青年は24歳)
滞納額は分割して必ず払う、そのかわりこれ以上の家賃が発生しないよう
にして欲しい。」といいました。

 この約束はきちんと守られ、滞納額は全額を二人が支払ったのです。
問題は父親です。
なかなか退去しようとしない。

 結果的にはある手法で退去してもらったのですが、かなりの日数がかかりました。
娘と青年は古いアパートに一緒に暮らすことになりました。

 ある日
父親に呼ばれ、あるサラ金に行って来た。
父親にせがまれ、融資の連帯保証人になってしまった。

と娘から電話がありました。

 このことは心配していたことです。本人には、「もう父親の依頼による連帯保証人に
なるな。」と言っていたのですが、切迫した状況が許さなかったようです。

 娘と青年は、この保証金額も全額支払いました。
家賃の滞納額を支払うのに1年近く、サラ金の保証金を支払うのにさらに1年。
二人は本当に辛抱して、父親の肩代わりをしたのです。

 いまでは 
「自分たちのことは自分たちで守りなさい。」という私どものアドバイスを忠実に
守っています。
2度と父親に会わないことによって。



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