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34.強い風で−3

 強風のため屋根のトタンが飛ばされるかもしれない、隣の建物や通行人に被害が生じるかもしれないと思った所有者は、これを予防することが求められるのでしょうか。

 法律上はともかく、万が一けがをしたり自動車を傷つけられた人は、建物の持主に「どうにかしてくれ」というのが世間の常識だと思います。アパートや貸家の入居者と異なる立場になることは容易に想像できます。

強風のさなかに屋根に上って応急処置をすべきだとまでは言えませんが、「何もしない」場合に世間が納得することは難しいかもしれません。

 あるアパートに所有者がゴミ置き場としてスチール製の物置を設置しました。よく見かける物置です。ある強風の日に、物置が道路に吹き飛ばされているという連絡が入りました。

 現場に行ってみると確かに物置が横倒しとなり、幅員6m道路の半分をふさいでいます。物置はコンクリートブロックの上に置かれただけで、アンカーボルトなどで固定された跡がありません。
 もし、歩行者や車両などに被害が生じた場合は、「法律上はともかく」では済みそうにありません。

 これも怪我や車両の破損などがなくて済んだケースですが、「運」がよかったとしか言えません。

 所有者は予想される強風で倒壊や横倒しにならない程度の固定措置をとる必要があったことは明白です。そして、物置を現場に運び設置したのは所有者自身であったので、所有者には固定措置を直ちにとるよう依頼しました。
 少なくとも所有者は固定されていないことを知っていたわけで、損害が生じていれば世間の非難は免れないでしょう。

 しかし、業者に頼んで設置した場合、固定措置がとられているかいないかわからない場合もあります。「知らなかった」で被害を受けた方が納得するか、世間の常識では難しいかもしれません。
 事故が起きたとき、ご自身を守るためにも日頃の点検が必要です。今一度、ご自宅にあるスチール物置が固定されているか、お確かめになってみて下さい。

 今回の話題は、貸主と借主の問題から離れましたが、同じことが起きても所有者と借主では世間の見方が違うこと、しなければならないことが違うこと、をお伝えしたかったのです。



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