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35.アパートの一室で火災

 原因の多くが人為的なものである火災は、火元だけでなく隣接の住宅にも被害が拡大します。本当に火災は怖いものがあります。まして、上下左右が壁床で仕切られただけのアパートの火災は、どんなボヤでも間違いなく隣人に迷惑をかけてしまいます。

 私どもが入居者紹介の依頼を受けている多くのアパートで、一度だけ火災を経験しています。木造2階建ての10世帯のアパートでした。

 だいぶ前のことなので原因ははっきり覚えていません。使用していた電化製品のショートかタバコの火の不始末かどちらかだったように思います。火元は一人暮らしの社会人で、2階の奥から2つ目の部屋です。

 幸い火災は火元の部屋の一部を焦がしただけで消し止められましたが、消火放水により隣の部屋と下の部屋が水浸しになりました。特に下の部屋はひどいものです。火災の後は独特の臭いがします。建材の焦げる臭いや、電気コードの焦げた臭い、本当に様々なものが焦げた臭いが一緒になっています。

 この臭いはなかなか取れません。臭いの元になる物質が消火放水の水と一緒に、壁紙や床に染みこむためと思います
 下の階の方は、当分の間は実家に戻ることになりました。家財全てが使い物にならないことは言うまでもありません。大家さんに処分を託して、内部の修繕が終わるまで実家から勤務先へ通います。遠距離通勤をやむなしで、結局他のアパートに引っ越すことになりました。

 大家さんは修繕を実施しました。内部の汚損した家財を処分し、内装建材を全て取り払い、建材を乾燥させてから内装工事を行います。この間の家賃を下の住人からもらうことはできません。

 本当に大変なことです。アパートの火災は大家さんと隣人や上下階の人に途方もない迷惑をかけます。それでは、火元の社会人は大家さんや階下と隣人にどのようにお詫びしたのか、実は余りよく承知していません。私共が関与しないで大家さんと火元の社会人が直接に話し合いをしたのです。

 ですから、解決したトラブルの紹介という建前ではお話しすることはできないのですが、少し一般論を次回に話を続けたいと思います。 



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