[戻る]



37.アパートの一室で火災−3

 火元の社会人がタバコの火の不始末をしたため生じた火災、そのために階下の住人が損害を被ったのだから、原則として火元の社会人は損害を賠償する責任がある。しかし、日本には特別な法律(失火責任法といわれています)があり、重大な過失がなければ階下の住人や隣人などに賠償しなくてよい。

 そのように一般に知られています。

 火元の社会人もアパート内の財産を失っています。木造住宅の多い日本では、風向き次第では大火にいたることも多く、延焼で被害を被る世帯が多数になることがあります。
 この損害を全部賠償しなさいとなると、火元の人は余りに大きな負担を抱えることになります。

また、人間は食事を摂るに火を通すことが必要で、毎日毎日のこととして煮炊きをしています。女性であったり老人であったり、生活に火を使うことは欠かせません。

 ちょっとした落ち度で大きな責任が生じる、となれば人間火を使うことが事実上できなくなり、生きてゆくことが困難になります。
そんな事情が、特別な法律を定めたことなのだと思います。

 逆に言えば、タバコの不始末という必ずしも必要といえない火の使用、消火活動により損害を受けた方が少ない場合、法律はともかく世間の常識から言えば、できる範囲での金銭的なお詫びをした方がよいと思います。

 仮に、火元の社会人は預金があって、瞬く間に新品の家財を買い揃えることができたとします。
隣人や階下の人はこれを見てどう思うでしょうか。

 金額はできる範囲としか言えません。「法律はともかく」の話ですから。
このような場合に備えて火災保険に加入しておくことは、大切かもしれません。



BACK不動産よもやま話NEXT





ご意見ご感想は daiti@jeans.ocn.ne.jp までよろしくお願いします。