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20.いわゆる超常現象は信じないのですが−2

 依頼者の住宅を内覧し終え、隣のお父さんの住宅を内覧します。鍵を開けて中に入りました。

 建物は築後20年以上のようです。玄関は狭く、上がるとすぐに引き戸があります。
引き戸を開けると中は真っ暗でした。古い住宅なので全ての窓に雨戸があり、全て閉められていたからです。

 しばらくして目が暗さに慣れてきて、中の様子が少しずつ掌握できてきました。

 引き戸を開けて入った部屋は居間でした。6畳くらいの和室です。
 テーブルと思ったのはこたつでした。こたつの上には2つほどの湯飲み茶碗と、菓子入れの器があります。菓子を置く皿も2つおいてあります。
 菓子器に菓子が入っていたか、薄暗くてよく見ていません。座布団も2つあり、座布団の横にはポットとゴミ入れがありました。

 居間には茶箪笥があり、中には食器や何やら色々入っています。薄暗いためよく覚えていません。家具の上には様々な小物や置物がありました。

 ついさっきまで誰か2人いてお茶を飲んでいた雰囲気です。10年以上も空き家とは信じられません。あまりに生活が感じられます。

 居間の続きに少し広めの和室がありました。中に入り障子を開けると縁側になっています。雨戸は閉ざされています。
 家に入った途端に重い気分になっていました。依頼者の住宅に入ったときとは異質で重い空気が玄関まで満ちあふれていたのです。暗さと澱んだ空気のためと思いました。

 早速雨戸を開けて、外の光と新鮮な空気を求めました。すがすがしい空気が住宅内を通り抜ける、と思っていました。しかし、一向に住宅内の「重いもの」がなくなりません。光も茂った植栽のために思ったほど射し込みません。南向きの縁側にもかかわらず。

 雨戸を開けて明るくはなったのです。でも、思ったほど明るくならないのです。
気を取り直して、和室の中を確認しました。寝室のようです。タンスやテーブルの他に、いろいろな物が置いてあります。荒れているとか散らかっているわけではありません。普通に片づいて「いない」のです。さっきまで、普通に生活している自宅の雰囲気で、お客さんが来た後の妙に片づいているのとは違う、生活がうかがえる雰囲気です。

 台所へ行くと、食器や鍋を洗った後でした。流しの脇に洗った食器がカゴに入れてありました。食器棚に片づける前に用があって外出した感じです。

 不思議なことに蜘蛛の巣どころか、ホコリもたまっていません。本当についさっきまで誰か2人がお茶を飲んでいて、ちょっと外出した感じなのです。10年の時間を感じないのです。

 さて、雨戸を開け空気の入れ換えをして、そのうちすがすがしい風が入ると思いましたが、全く住宅内の空気の重さは変わりません。
そして、誰かに見られているような気がずーっとしています。 

 例によって、この話は次回に続けます。



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