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22.いわゆる超常現象は信じないのですが−4

 依頼者の住宅に戻り戸締まりをして帰る支度をしていました。玄関を出て、鍵を閉める頃には少し日が傾いていましたが、まだ薄暗いとまではいきません。

 車に乗り込みいざ帰ろうと思ったのですが、どうしてもあの神棚が気になります。
あの重苦しい空気の真っ暗なところに神棚とお札があることが、気がかりだったのです。
このままでよいものか悩み始めました。

 「空気が出入りするよう、どこか窓を少し開けようか。それとも持ち帰って、自分の手で神社にお返ししようか。」

 今思うと不思議ですが、たとえ失礼に扱われているとしても人様の神棚でありお札です。神棚について何の依頼も受けていません。しかし、持ち帰り自分の手で神社にお返ししようと思ったのです。良く覚えていませんが、きっと依頼者には電話をかけて事情を説明し承諾を得たものと思います。しかし、良く覚えていないのです。

 依頼者のお父さんの古い住宅の鍵を開け中に入りました。本当に真っ暗です。ライターの火を頼りに神棚とお札を携えて、急いで家を出ました。相変わらずの空気の重さに耐えることができなかったのです。

 外は日が傾き薄暗くなりはじめていました。車に神棚とお札を入れ、急いで帰宅しようと車を走らせました。
どのくらい時間が経った頃でしょうか。あたりが薄暗くなっています。急に気分が悪くなり始めました。軽い吐き気とめまいです。すーっと意識が遠くなる感じです。けっして睡魔に襲われているわけではないのですが。

 すーっと意識が遠くなり、自分の運転する車は対向車線に行こう行こうとします。
このままじゃ命がありません。はっと我に返り、道ばたの空き地に車を停めました。

 どれほど時間が経ったのか。目が覚めると辺りは真っ暗です。どうやら眠り込んでいたようです。軽い吐き気とめまいは相変わらずですが、慎重に運転して帰りました。ここら辺も良く覚えていないのですが。

 事務所に戻り、持ち帰った神棚とお札を置き、塩と米と水をお供えしました。そして、家族に電話して事情を話しました。そして帰ろうとしたときに、電話が鳴りました。家族からです。

 「そのままにすると命が危ない」

 例によって、この話は次回に続けます。



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