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25.忘れられた仏壇

 神仏に対し敬虔な信仰を持つとは言えない自分ですが、「人の思い」は大切にしたいと考えています。昨年(この原稿は2002年2月の執筆)の4月に父親を亡くました。葬儀から仏壇の購入と墓石の建立と初めての経験をいたしました。

 仏壇は仏具店との相談に始まり、様々な備品の購入からスタートです。僧侶によるお経により仏壇のご本尊様の開眼供養を行い、一連の儀式が終わります。

 「仏壇」の安置だけで故人を含め家族が様々な人と関わります。まして、何代もの世代を継いできた旧家にあっては、それこそ多くの人が仏壇の前で手を合わせたに違いありません。
いわゆる超常現象は信じませんが、多くの人々の思いが込められていることは大切にしたいと思います。

 さて、近年の少子高齢化の影響でしょうか、子供が県外で独立し親が子供達と同居するために自宅を売却するケースが多くなりました。この場合、県外に転居する親と協議しますから、転居引渡の際に、家財一切を移動して戴くことにさほどの支障はありません。特に、お位牌やご本尊様など特に神聖なものを忘れることはありません。
 ただ、引っ越し先の住宅の都合で、今の仏壇をそのまま移動することができない場合はあるようです。しかし、そのような場合に私共に相談することはありません。なぜなら、お寺さんに相談するからです。

 これからお話しするのは、主が既に亡くなり子供さんもいないケースです。
家の主人(老婦人)が亡くなって誰も住まなくなってから4年を過ぎるこの家は、戦後まもなく建てられた古い民家です。
 居間には仏壇があります。ご本尊様のほかに数箇のお位牌がありました。信心深い人でしょうか住宅の各所にお寺さんのお札があり、仏壇の中には仏画などもありました。

 家の主人に子供さんがいないため、私共が相談を受けたのは亡くなった主の姪御さんにあたる方でした。
結局、私共が買取りして住宅を解体することになりました。住宅の家財は全て処分廃棄して欲しいとの条件です。

 「お位牌とご本尊様は受け取り戴けますよね」と尋ねました。姪御さんは既に結婚してご主人のご両親と同居しており、できないと言います。しかも、家の主人であった叔父と叔母とも面識が薄く、毎日手を合わせる気持になれないといいます。まして、他の位牌の方は全く面識もなく、誰がどんな親戚関係なのかも判らないと言います。

 話は次回に続けます。



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