1.税金
2.セットバック
今回の電柱の移設費用ですが、100万円に近いものとなります。
交差点にたつ電柱は前後左右に電線が引っ張られ、しかも電線は他地域と連携する重要電線です。また、トランスのほか保守保安の設備がされた重要施設電柱のため、高額の工事費となりました。
他の地域へも影響する電線の場合は「ご迷惑をおかけしますが、電力工事のため午前10時から午前11時まで停電します。」というやり方は通用しません。
電柱一本の移動で済まない、前後左右に展開する他の電柱や架設電線も工事が必要となる大がかりな工事となりました。
依頼者に土地を削ってもらった他に、100万円近い出費させるわけにいきません。
事前の協議を重ね、証明資料の作成や地域への働きかけにより、さまざまな行動により電力会社が負担してくれるようにしました。
設計監理において可能性を探り、見込があると判断したからこそ、今回の移設企画を依頼者に提案できたわけです。
いかに地域への貢献とはいえ、過分な費用負担を伴うならば提案を断念することは、監理を受任した者として当然のことと言えます。
近所の方達の中には「何だ、これっぽちしか動かないの!前と変わらないじゃない!」
と言う人もいますが、大多数の方は言葉にしないまでも、良かったと思っています。
そして、設計監理者である私共が関与したからこそ実現できた、ということも理解して戴いています。
建築主さんと工務店さんとの設計協議では、所有宅地利用と地域との調和という論点は考慮されないのが通常です。
工務店さんは建築主さんの希望にかなう住宅を建てる、そのために時間効率と経済性を追求するのが本分だからです。
今回の移設は地域住民との協議を10月に開始したのを皮切りに、電力会社との協議を行い、電柱の設置工事に立ち会ったのは翌年の5月末でした。
この後、幾度の付随工事を行い、最終的に古い電柱が撤去されたのは8月になってからです。
実に10ヶ月を要しました。
地域との調和には、時間がかかるものです。
しかし、私共は地域との調和を常に考えて不動産マネジメントをしていきたいと思います。
もう少し電柱の話を続けます。
4.水道管
5.通行権
6.下水管の輻輳
7.道路が行き止まりで狭い
8.プライバシーと興味
9.その他
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