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8.弟名義で住宅を買いローンを組んだら

  ある人に住宅を売りました。その方は住宅ローンを組んで必要資金を準備し、問題なく登記と引き渡しが終了しました。後で聞いた話ですが、事情があって住宅ローンが組めないお兄さんが、弟さん名義で住宅を購入したのだそうです。弟さん名義のローンを組んでもらい、ローンもお兄さんが返済する約束だったそうです。
 当方としては知る由もありませんでした。売却後に住宅をどのように利用するかまで、関与できないからです。

  この取引についての記憶も薄れた頃、この弟さんが私どもを訪問されました。
「この住宅が自分のだということを法廷で証言して欲しい」というのです。

 所有権登記を巡り裁判になったようです。私の扱った取引でないので事情を詳しくお話しできませんが、「この住宅を買って所有登記名義を取得した」人から「転売を受けた」人との裁判でした。弟さんがお兄さんに無断で売り、お兄さんの方が所有権を主張するなら皆さんも「あー、そんなこともあるな」と思えるでしょう。しかし、弟さんは自分で権利証や委任状など所有権移転に必要な書類を誰かに渡したのです。今更、自分が所有者であることを証言するまでもないと思うのですが。

 ここが、実際の裁判の複雑なところです。いろいろな事情と赤の他人や肉親が複雑に絡み合っているのです。この弟さんから東京の人に売買され、東京の人から地元の人に売却されていました。まあ、私の全く知らない人であることは言うまでもありません。

 この話題は、問題が生じて何とか解決した、というものではありません。不動産を売却した後に転々と売却され、紛争が生じると何代も前の不動産取引が取り沙汰されるという、不動産紛争の特徴を改めて実感したことをお伝えしたかったのです。



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